書斎に、寝袋を持ち込みました。
キャンプをするためではありません。目が覚めたら、すぐにパソコンに向かってゲームを作るためです。
8月の下旬から、毎日4時間ほど。プログラミング未経験の私が、AIの力を借りながら、ゲーム作りに夢中になっています。
作っているのは、「えかきやさんの いちにち」。
小学2年生の長女に、お店を経営する楽しさと、お金の流れを知ってほしい。そんな思いから生まれた、小学生向けの経営シミュレーションゲームです。
自分で材料を買い、絵を描いて、お客さんに売る。お店を動かすたびに、手帳の数字も変わっていく。
そんなゲームを娘に遊んでもらったところ、うれしい言葉と、予想していなかった発見が待っていました。
そして今日、ついに、最後まで遊べる試作版を無料公開しました!
「娘にも知ってほしい」から始まったゲーム作り
私はもともと、ビジネスやお金の仕組みに興味がありました。
大学では経営学を学び、特に関心を持ったのがスモールビジネス。その後、専門学校で公認会計士の先生から簿記を教わり、財務諸表にも興味を持つようになりました。
現在も株式投資をするなかで、財務諸表を読む力や、お金が動く仕組みを理解する力の大切さを感じています。
「この知識を、娘にも身につけてほしい」
でも、小学2年生の娘に、いきなり財務諸表を見せるのは難しそうです。
それなら、遊びながら体験できるゲームはどうだろう?
自分のお店を開いて、商品を作り、お客さんに売る。
材料を買うと、お金が減る。商品が売れると、お金が増える。たくさん売れても、材料にお金を使いすぎれば、手元にはあまり残らない。
そんな体験を繰り返すうちに、難しい言葉を覚える前から、お金の仕組みを感覚的につかめるかもしれません。
さっそくYouTubeで、小学校低学年向けの経営ゲームや、財務諸表を遊びながら学べる教材を探してみました。
ところが、私が求めていたものは見つかりませんでした。
「それなら、自分で作ってみようかな」
この思いつきが、書斎に寝袋を持ち込む日々の始まりでした。
プログラミング未経験でも、アイデアが動き始めた!
ゲームを作ると決めたものの、私はプログラミングの素人です。
ゲーム開発の知識も、プログラムを書く技術もありませんでした。
そこで頼ったのが、生成AIです。
現在は、次のサービスを使い分けながら開発しています。
- ChatGPT: キャラクターや背景画像の生成、シナリオやゲームのアイデア出し
- Claude: ゲームのプログラミング
- Suno: ゲーム内で流れる音楽の生成
いずれも有料版を利用しています。
私の役割は、「こんなゲームにしたい」「ここをもっと面白くしたい」と考え、AIに伝えること。できあがったものを確かめながら、少しずつ形にしていきます。
もちろん、思いどおりに進むことばかりではありません。
それでも、頭の中にしかなかったアイデアが、画面の中で実際に動き始める。その面白さは、想像していた以上でした。
気づけば、目が覚めたらすぐに続きを作りたくなるほど、夢中になっていました。
絵を売ると、手帳の数字が動く。その仕組みもゲームに!
「えかきやさんの いちにち」で、プレイヤーが経営するのは絵描き屋さんです。
紙を買い、絵に色を塗り、完成した作品をお客さんに売ります。
そして、お店で何かをするたびに、画面下の手帳の数字が変わっていきます。

手帳に用意したのは、次の3つの窓です。
- おさいふ: お金がどれだけ入って、どれだけ出ていったか
- どうぐばこ: お店が持っているものの状態
- きょうの もうけ: お店の商売で、どれだけもうかったか
それぞれ、キャッシュ・フロー計算書、貸借対照表、損益計算書の考え方をもとにしています。
目指しているのは、難しい会計用語を知らなくても、自分の行動と数字の変化がつながる体験です。
「紙を買ったら、どうなる?」
「絵が売れたら、どこが変わる?」
お店を動かしながら、お金の仕組みも少しずつ見えてくる。 そんなゲームにしたいと考えました。
お客さんのキャラクターは、娘が考えた!
このゲームには、私にとって、もうひとつ特別なところがあります。
お客さんとして登場するキャラクターは、すべて長女が考えたものなのです。
娘がホワイトボードに描いた絵をもとに、ゲームのキャラクターを作りました。

娘が描いたキャラクターが、私の作るゲームの世界に登場する。
こうして、最初は「娘のために作るゲーム」だったものが、少しずつ「娘と一緒に作るゲーム」にもなっていきました。
娘に遊んでもらったら、予想外の結果に!
そして、いよいよ長女に遊んでもらうことに。
プログラミング未経験の父親が作ったゲームを、小学2年生の娘は楽しんでくれるのか。
気になるのは、やはり娘の反応です。
すると、遊び始めた長女から、こんな言葉が飛び出しました。
「めちゃくちゃ面白い!」
これは、うれしかったです。
寝袋まで持ち込んで作り続けたゲームを、娘が楽しんでくれている。それだけでも、作ってよかったと思えました。
ところが、遊ぶ様子を見ていると、意外なことが分かりました。
娘がいちばん夢中になっていたのは、塗り絵の場面だったのです。
お客さんがほしがっている絵を、好きな色を選びながら完成させる。どうやら、ここが特に楽しかったようでした。
では、私が学んでほしかった、お金の仕組みの部分はどうだったのでしょうか。
何度も間違えた仕訳クイズ。最後には、迷わず即答!
娘がつまずいたのは、「仕訳クイズ」でした。
紙を買ったり、絵を売ったりしたときに、手帳の数字がどう変わるかを考えるクイズです。
私がいちばん学んでほしかったところで、何度も不正解になってしまいました。
でも、そこから、うれしい変化がありました。
不正解が悔しかったらしく、娘は繰り返し問題に挑戦。何度もトライするうちにパターンを覚え、最後には、迷わず即答できるようになっていたのです。
最初はつまずいていた問題に、すぐ答えられるようになっている。
その姿を見て、「遊びながら学ぶ」という方向に、手応えを感じました。
もちろん、正解できたからといって、お金の仕組みをすべて理解したとは限りません。繰り返し出てくる問題の答えを覚えた部分もあると思います。
それでも、分からなかった問題に、自分から何度も挑戦して、答えられるようになった。
つまずいた場面だけを見て、「小学2年生には難しかった」と決めつけなくてよかった。
娘の変化を見ながら、そう感じました。
「もっと遊びたい!」の先に、学びをつなげたい
塗り絵に夢中になり、仕訳クイズにも繰り返し挑戦する。
娘が遊ぶ姿から、ゲームの面白さが、難しいことに取り組むきっかけになる可能性を感じました。
次に目指したいのは、その先です。
クイズに答えられるようになった娘が、「どうして、この数字が変わるんだろう?」というところにも興味を持つようになるのか。
遊ぶ楽しさと、お金の仕組みへの理解を、どうつなげていくか。
これからの開発で、確かめていきたいことが見えてきました。
そして、長女が楽しんでくれたこのゲームを、ほかの子どもたちはどう遊ぶのか。それも、とても気になっています。
どこで笑い、どこで迷い、どこに夢中になるのか。
私がまだ気づいていない面白さも、改善したいところも、実際に遊ぶ姿から見えてくるはずです。
子どもが「もっと遊びたい!」と思ううちに、自然とお金の仕組みに興味を持てるゲームへ。
今回の無料公開は、そこに向けた新しい一歩です。
【無料公開中】あなたも、絵描き屋さんを開いてみませんか?
「えかきやさんの いちにち」は、ブラウザで遊べるゲームです。
インストールも会員登録も不要。無料で遊べます。
1回のプレイ時間は約30分。最後まで遊べる試作版として公開しています。
紙を買って、絵に色を塗って、お客さんに作品を届ける。
お子さんと一緒に、絵描き屋さんのいちにちを体験してみませんか?
ゲームの遊び方や保護者向けの説明は、こちらにまとめています。
※現在も開発を続けているため、画面やゲームの内容は今後変更する場合があります。
お子さんが夢中になったところ、ぜひ教えてください!
遊んでいただけたら、ぜひ感想を聞かせてください。
「塗り絵が楽しかった」
「お金のところが難しかった」
「途中でやめてしまった」
どんな感想でも歓迎です。
楽しかったところは、もっと面白く。迷ったところは、もっと分かりやすく。
「ここで飽きてしまった」という声も、ゲームを育てていくための大切なヒントになります。
感想は、以下のフォームから送っていただけると、開発の励みになります。
おわりに|娘のために始めたゲームを、もっと多くの子どもたちへ
最初にしたのは、娘に遊ばせたいゲームを探すことでした。
求めていたものが見つからず、「それなら、自分で作ってみようかな」と思ったことから、すべてが動き始めました。
プログラミング未経験の私がAIの力を借り、娘が描いたキャラクターがゲームに登場し、ついには「めちゃくちゃ面白い!」という言葉を聞くことができた。
何度も間違えていたクイズにも、最後には迷わず答えられるようになっていました。
あのとき「作ってみよう」と思わなければ、見られなかった娘の姿です。
「えかきやさんの いちにち」は、まだ開発の途中です。
これから遊んでくれる子どもたちの反応をヒントに、夢中になれる楽しさと、お金の仕組みを学べる体験を、もっと磨いていきたいと思っています。
あなたのお子さんは、塗り絵に夢中になるでしょうか。それとも、お店のお金を増やすことに熱中するでしょうか。
次は、どんな遊び方に出会えるのか。私も楽しみにしています。
※本ゲームの画像・イラスト・音楽の一部には生成AIを使用しています(音楽:Suno)。

